共同生活援助(グループホーム)の人員配置体制加算とは?令和6年度の報酬改定に伴うポイントを解説!

共同生活援助(グループホーム)の基本報酬体系は、これまで人員の体制により何パターンかに分かれていましたが、令和6年度の報酬改定により「世話人の配置6:1以上」の区分のみに一本化されました。

つまり、この基準人員より手厚くスタッフを配置している事業所は、別途加算の申請をしなければなりません。この加算が「人員配置体制加算」です。

この記事ではグループホームの「人員配置体制加算」を中心に、令和6年度の報酬改定に伴うポイントや改定後の算定要件、計算方法などを詳しく解説します。

令和6年度の報酬改定でグループホームの基本報酬区分はどう変わった?

それでは、令和6年度の報酬改定でグループホームの基本報酬区分はどう変わったのか見ていきましょう。主な改定ポイントは次の2点です。

  • 基本報酬(共同生活援助サービス費)の区分が一部廃止された
  • 人員配置体制加算が新設された

つまりグループホームの報酬体系は、「基本報酬+人員配置体制加算」の組み合わせがベースとなります。

それぞれの改定ポイントについて、詳しく見ていきましょう。

基本報酬区分(共同生活援助サービス費)の区分が一部廃止された

冒頭で触れたとおり、基本報酬区分(共同生活援助サービス費)の区分が一部廃止され、世話人の必要配置人数は最低ラインである6:1に一本化されました。

これまで 令和6年度の報酬改定後
基本報酬区分Ⅰ
(世話人の配置4:1以上)
廃止
基本報酬区分Ⅱ
(世話人の配置5:1以上)
廃止
基本報酬区分Ⅲ
(世話人の配置6:1以上)
(新)基本報酬区分Ⅰ
(世話人の配置6:1以上)

参考:厚生労働省|令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要

これまでは世話人の配置数に応じて加算される報酬体系であったものが、サービス提供時間の実態に応じて加算される報酬体系になったことがポイントです。

なお、改定後の「新 基本報酬区分Ⅰ」の単位数は、次のように定められました。改定前の基本報酬区分と比較してみましょう。

障害支援区分 新 基本報酬区分Ⅰ
(6:1以上)
旧 基本報酬区分Ⅲ
(6:1以上)
基本報酬区分Ⅱ
(5:1以上)
基本報酬区分Ⅰ
(4:1以上)
区分6 600単位/日 583単位/日 616単位/日 667単位/日
区分5 456単位/日 467単位/日 500単位/日 552単位/日
区分4 372単位/日 387単位/日 421単位/日 471単位/日
区分3 297単位/日 298単位/日 331単位/日 381単位/日
区分2 188単位/日 209単位/日 243単位/日 292単位/日
区分1以下 171単位/日 170単位/日 198単位/日 243単位/日

参考:厚生労働省|令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容

「新 基本報酬区分Ⅰ」「旧 基本報酬区分Ⅲ」はどちらも世話人の配置比率は6:1以上ですが、単位数が増えている区分もあれば、減っている区分もあるため注意してください。

人員配置体制加算が新設された

さて、基本報酬区分が「世話人の配置6:1」に一本化されると、旧区分Ⅰ(世話人の配置4:1)もしくは旧区分Ⅱ(世話人の配置5:1)に沿って人員配置していた事業所は、基本報酬区分の定めより余剰に人員を配置していることになります。

この余剰人員を評価するために新設されたのが「人員配置体制加算」です。

事業所に置くべき人数(6:1)よりも多く世話人・生活支援員を配置している事業所が、利用者にサービス提供した場合には、その支援区分に応じた所定単位数が加算されます。

つまり旧区分Ⅰ(4:1)・旧区分Ⅱ(5:1)の比率で人員配置している事業所は、収入を確保するためにも、この人員配置体制加算をしっかり申請することが重要なのです。

人員配置体制加算の計算方法

それでは人員配置体制加算の計算方法について見ていきましょう。

人員配置体制加算は「特定従業者数換算方式」で算出します。特定従業者数換算方式とは、事業所の従業者の総労働時間を40時間で割って、従業者の員数を算出する方法です。

基本報酬区分の算出で用いられる「常勤換算方法」は、常勤職員の勤務すべき時間によって、従業者の延べ勤務時間を32時間〜40時間で割って計算します。週あたりの勤務すべき時間が32時間なら、合計勤務時間を32時間で割るということです。

しかし人員配置体制加算は「特定従業者数換算方式」で算出するため、どの事業所も合計勤務時間を”40時間”で割ります。(たとえ常勤職員の勤務すべき時間が32時間だとしても、40時間が割るということです)

そして、特定従業者数換算方法で求めた比率が利用者の数に対して「12:1」もしくは「30:1」以上の事業所が、利用者に対しサービス提供した場合、障害支援区分に応じて1日ごと所定単位数が加算されます。

加算単位は次のとおりです。

12:1(加算Ⅰ) 30:1(加算Ⅱ)
区分4以上 83単位/日 33単位/日
区分3以下 77単位/日 31単位/日

参考:厚生労働省|令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容 25ページ

少し計算が複雑ですが、人員配置体制加算の対象となるかどうかについては、次の手順で確認してみてください。

  1. 加配対象の世話人・生活支援人の週延べ勤務時間数を40時間で割る(A)
  2. 前年度平均利用者数を12もしくは30で割る(B)
  3. (A)>(B)の場合は「人員配置体制加算」の対象

具体的な数字で計算してみましょう。たとえば週合計34時間勤務する職員が2人、前年度の平均利用者数人が10人の施設があったとします。(世話人の配置5:1以上の事業所ということです)

  1. (A)の計算:34時間×2人÷40=1.7
  2. (B)の計算10人÷12=0.8
  3. (A)>(B)となるため、人員配置体制加算(加算Ⅰ)の対象

もしこの事業所が区分3で、当月利用回数が200回なら、「200回 × 77単位 × 10円/単位=154,000円」が加算によって増加します。

報酬改定によって事業所の収入はどう変わる?

ここまで紹介したポイントをふまえて、令和6年の報酬改定によって事業所の収入がどう変わるのか見てみましょう。

まず、もっとも手厚く人員を配置している旧報酬区分Ⅰ(4:1)に相当する事業所については、新しい基本報酬区分(6:1)への一本化に伴い、基本報酬が大きく減少すると考えられます。配置比率が高いため、「人員配置体制加算Ⅰ」の対象となる可能性が高いものの、旧区分Ⅰの報酬単位には至らない事業所が多いでしょう。障害支援区分3の事業所を例に比較してみます。

項目 これまで 令和6年度の報酬改定後
基本報酬 旧 基本報酬区分Ⅰ(4:1以上)
381単位/日
新 基本報酬区分Ⅰ(6:1以上)
297単位
人員配置体制加算 なし 加算Ⅰ(12:1)
77単位/日
合計 381単位/日 374単位/日

旧報酬区分Ⅱ(5:1)の事業所についても、基本報酬の減少が生じます。しかし追加人員の存在によって「人員配置体制加算Ⅰ」を算定できれば、収益が改善する可能性もあることがポイントです。必ずしも収入が減るとは限らないため、人員配置体制加算の対象となるかどうか必ず確認してみてください。同じく障害支援区分3の事業所を例に比較してみます。

項目 これまで 令和6年度の報酬改定後
基本報酬 旧 基本報酬区分Ⅱ(5:1以上)
331単位/日
新 基本報酬区分Ⅰ(6:1以上)
297単位
人員配置体制加算Ⅰ なし 加算Ⅰ(12:1)
77単位/日
合計 331単位/日 374単位/日

旧報酬区分Ⅲ(6:1)については、新しい基本報酬区分になっても人員配置比率に変わりはないため、大きな減少はないと考えられます。むしろ人員配置体制加算Ⅰの対象となれば収益が改善する可能性もあるため、一度シミュレーションしてみてください。たとえば週合計34時間勤務する職員が2人、前年度の平均利用者数が12人の施設で考えてみます。(世話人の配置は6:1以上)

  • 4. (A)の計算:34時間×2人÷40=1.7
  • 5. (B)の計算12人÷12=1
  • 6. (A)>(B)となるため、人員配置体制加算(加算Ⅰ)の対象
項目 これまで 令和6年度の報酬改定後
基本報酬 旧 基本報酬区分Ⅲ(6:1以上)
298単位/日
新 基本報酬区分Ⅰ(6:1以上)
297単位
人員配置体制加算Ⅰ なし 加算Ⅰ(12:1)
77単位/日
合計 298単位/日 374単位/日

人員配置体制加算の算定は専門家に相談すると安心

令和6年度の報酬改定に伴い、グループホームが知っておくべきポイントは次の2つです。

  • 基本報酬区分が「世話人の配置6:1以上」に統一された
  • 人員配置体制加算が新設された

このうち、基本報酬区分は「常勤換算方法」で計算する一方、人員配置体制加算は「特定従業者数換算方式」で計算しなければならず、その算出方法は複雑です。

しかし基本報酬区分の改定に伴う収益減少に備えるためには、しっかり「人員配置体制加算」を申請する必要があります。また、実務的には人員配置体制加算だけではなく、夜間支援体制加算なども算定しなければなりません。事業所のスタッフだけでの算定が難しいと感じる場合には、一度専門家に相談してみてください。

社会保険労務士・行政書士松元事務所では人員配置体制加算申請を代行している他、給与計算をご依頼いただいている場合には毎月の人員配置を出勤簿などで把握できるため、申請できる加算についてこちらからご提案することも可能です。

加算申請・給与計算は専門家に任せ、事業所としては利用者へのサービスに集中したいという方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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