欠席時対応加算の要件とは?放デイ・児発における算定時の注意点とあわせて解説!

放課後等デイサービス・児童発達支援において、あらかじめ予定していた日に急病などで欠席することになった場合、いくつかの条件を満たすと「欠席時対応加算」が適用されます。

積極的に利用していきたい制度ではあるものの、算定要件が複雑で、よく分かっていないという方もいるかもしれません。

そこでこの記事では、放デイ・児発において「欠席時対応加算」を算定する要件・注意点を紹介します。具体的な計算方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

欠席時対応加算の制度概要

放課後等デイサービス・児童発達支援では、利用している児童が急遽欠席することもあります。このような場合における事業所側の対応を評価するのが「欠席時対応加算」です。

定められた要件を満たした場合には、1か月に4回を限度に、「94単位/1日」が加算されます。

なお、重症心身障害児を支援する事業所については、定員充足率が80%未満の場合、1か月に8回が限度とされています。

欠席時対応加算の算定要件

欠席時対応加算が認められるためには、次の3つの算定要件を満たす必要があります。

  • 利用日の前々日、前日、当日までに欠席の連絡を受けた
  • 連絡調整・その他の相談援助を実施した
  • 相談援助の内容を記録した

「児童が休んだ」というだけでは加算されないことがポイントです。それぞれの要件について詳しく見ていきましょう。

利用日の前々日、前日、当日までに欠席の連絡を受けた

まず、利用日の前々日、前日、当日まで(2日前〜当日まで)に欠席の連絡を受けている必要があります。

これ以外の日に欠席連絡を受けたとしても、欠席時対応加算は認められません。

連絡調整・その他の相談援助を実施した

欠席時対応加算が認められるためには、欠席の連絡を受けた後、「連絡調整・その他の相談援助」を実施する必要があります。

「連絡調整・その他の相談援助」とは、次のような内容のことです。

  • 児童の体調を確認する
  • 放デイ・児発の利用の支障になるようなことが発生していないか確認する
  • 次回利用時の留意点を伝える
  • 引き続き放デイ・児発を利用することを促す

たとえ突然の欠席だとしても、児童側の家庭をしっかりサポートし、日ごろの支援につなげていくことが重要です。

なお、これらの連絡・相談については、面会・訪問だけではなく、電話での対応も認められています。

相談援助の内容を記録した

欠席時対応加算の要件には「相談援助の内容の記録」も含まれています。記録すべき主な項目は次のとおりです。

  • 連絡日時
  • 連絡を受けた職員
  • 連絡者名
  • 連絡手段
  • 利用者名・欠席日(利用予定日)
  • 欠席理由・状況(病院受診の対応など)
  • 必要な支援について
  • 次回の利用予定日
  • 具体的な連絡調整・相談援助の内容

相談援助の記載例は次のとおりです。

保護者から、児童が発熱したので○日に欠席したいと連絡があった。
回復するまで無理せず休むようアドバイスした。
次回の利用予定日は△日として、支援を再開する予定。

上記はあくまでも一例であるため、事務所ごとの様式・記載ルールについては社会保険労務士などと相談してみてください。

欠席時対応加算の計算方法

欠席時対応加算の計算式は次のとおりです。

算定単位(94単位/回) × 月の利用回数 × 地域単位

たとえば1か月の間に「利用日前々日に欠席連絡があり、電話で相談援助したケース」と「利用日前日に欠席連絡があり、対面で相談援助したケース」があった場合、次のように計算します。

94単位 × 2回 × 10(地域単価)= 1,880円/月

欠席時対応加算を算定するときの注意点

欠席時対応加算は要件が多く、加算されないケースもあります。いくつか注意点と対処方法について見ていきましょう。

  • 欠席連絡のタイミングによっては加算されない
  • 欠席しただけでは加算されない
  • 急遽の欠席でも加算されない状況もある
  • 記録が不十分だと加算されない
  • 天候・災害による欠席は事業所の状況によって算定可否が異なる
  • 延長支援途中の体調不良で急遽帰宅した場合にも欠席時対応加算は利用できる
  • 欠席時対応加算(Ⅱ)は廃止された

欠席連絡のタイミングによっては加算されない

欠席時対応加算は「利用日の前々日、前日、当日」の連絡のみが対象とされています。つまり欠席連絡のタイミングによっては、加算されないこともあるのです。

たとえば、利用日の前々日より前、つまり3日前までに欠席の連絡を受けていた場合、欠席時対応加算は認められないため注意してください。(3日前に連絡があったとしたら、急遽の休みとはいえないのです)

また、利用日の翌日に「昨日はこういう事情があって休んだ」などの連絡が合った場合も、要件を満たしたことにはなりません。

欠席しただけでは加算されない

突然の休みだったからといって、児童側からの連絡がないにもかかわらず欠席時対応加算を算定することはできません。

あくまでも児童側から連絡があることが要件とされています。

急遽の欠席でも加算されない状況もある

たとえ急遽の欠席だとしても、欠席時対応加算が認められないケースも存在します。

たとえばA事業所とB事業所に通っている児童がいるとします。そして利用者の連絡漏れなどによりばA事業所とB事業所の利用日が重なってしまい、A事業所の利用を急遽中止し、B事業所に通所したとしたらどうでしょう。(いわゆるダブルブッキングです)

欠席時対応加算の算定要件としては急病などによる利用中止が想定されており、同日に異なる事業所で報酬が算定されることは想定されていません。

そのため上記のような連絡漏れなどの理由で利用が急遽中止されたとしても、A事業所は欠席時対応加算を算定することはできないのです。(なお、B事業所が基本報酬など算定することは可能です)

このほか、クレームによる欠席・キャンセルなども、欠席時対応加算の対象とはなりません。

記録が不十分だと加算されない

欠席時対応加算の要件として、各種記録を残すことが求められています。

よくある失敗例が、欠席日と欠席理由だけを記録し、必要な支援・援助内容などを記録していないケースです。「具体的な連絡調整」については、詳細に記録しておく必要があるため、あらかじめ記載方法を職員間で共有しておいたほうがいいでしょう。

天候・災害による欠席は事業所の状況によって算定可否が異なる

台風が接近しているなど、天候・災害に起因して急遽欠席することもあるでしょう。このような場合に欠席時対応加算の算定できるかどうかは、事業所の状況によって異なります。

もし事業所のドアが開いており、職員が通常通りに出勤しているとしたら、施設が受け入れ態勢にありますから、欠席時対応加算が認められます。

しかし、施設側の受け入れ態勢が整っていないとしたら、欠席時対応加算は認められません。

延長支援途中の体調不良で急遽帰宅した場合にも欠席時対応加算は利用できる

少し複雑なケースですが、延長支援途中の体調不良で急遽帰宅した場合であっても、欠席時対応加算は利用できるとされています。

たとえば支援開始前に、9時〜11時を延長支援時間、11時〜17時を支援時間と個別支援計画に位置付けていていたとします。この状況で、10時45分(延長支援の途中)に体調不良で急遽帰宅したとしても、欠席時対応加算の算定は可能なのです。

ただしこのような場合も、欠席時対応加算を算定するためには、障害児や家族などと連絡調整・その他相談援助を実施し、その内容を記録しなければならないことに変わりはありません。

(なお、上記のケースでは延長支援が計画されていますが、基本報酬が算定される支援が実施されていないため、延長支援加算のみを算定することはできません)

欠席時対応加算(Ⅱ)は廃止された

これまで放デイでは、当日に短時間利用となった場合に算定できる「欠席時対応加算(Ⅱ)」という制度がありましたが、令和6年度報酬改定によって廃止されました。

改定後は、時間区分については個別支援計画に定めた支援時間での判定を基本とし、事業所都合で支援時間が短くなった場合には「実支援時間」で判定することとされています。

まとめ

欠席時対応加算が認められるためには、児童側からの連絡を受け、しっかりと連絡調整・その他の相談援助を実施しなければなりません。そしてその内容を、記録に残しておく必要があります。

突然の欠席連絡を受けたときにどのように行動するべきか決めておかないと、対応が後手後手になり、欠席時対応加算の要件を満たせなくなってしまうかもしれません。算定要件を満たすためにも、事業所ごとに準備を整えておくと安心です。

また、令和6年度報酬改定によって「欠席時対応加算(Ⅱ)」も廃止されているため、短時間利用が発生したときの対応方法についても職員間で認識を合わせておくといいでしょう。

社会保険労務士・行政書士松元事務所は大阪府・兵庫県・京都府・奈良県を対象に、「障害福祉サービス開業サポート」を提供しています。欠席時対応加算についても相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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