就労継続支援B型事業所の始め方とは?行政書士事務所が分かりやすく解説!

障がい者の方のための作業所にはいくつか種類がありますが、その中でも事業所数が多いのが「就労継続支援B型」です。

普通の会社であれば会社を設立してビジネスをスタートさせれば問題ありませんが、「就労継続支援B型事業所」として活動するためにはどうすればいいのでしょうか。

この記事では就労継続支援B型事業所の始め方を、会話形式で分かりやすく紹介します。何から始めたらいいのか分からず困っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

相談者:

こんにちは。相談があります。

私は障害のある方々に、働く場所を提供したいと考えています。いくつか方法はあるらしいのですが、中でも「就労継続支援B型サービス」が一般的だと聞きました。

「就労継続支援B型サービス」とはどのようなサービスなのか、教えてもらえますか?

ご相談ありがとうございます。初めての方にも分かるよう、詳しく紹介しますね。

「就労継続支援B型サービス」は「指定障害福祉サービス」の一つ

就労継続支援B型サービスは、「指定障害福祉サービス」と呼ばれるサービスのひとつです。

まずは「指定障害福祉サービス」について説明いたしますね。

障がいがある場合、20歳になると「障害年金」が支給されるケースもあります。しかし障害年金で受け取れる額は、決して多いものではありません。そのため現実的に考えると、障害年金だけで自立した生活を送ることは難しい、といえます。

たとえば令和5年度における障害基礎年金の年間支給額は、1級が993,750円、2級が795,000円です。子供がいると加算されたり、厚生年金加入期間があれば障害厚生年金も加算されますが、やはりこれだけで自立した生活を送ることは簡単ではありません。(参考:政府広報オンライン

相談者:

たしかに、障害年金だけで自立した暮らしを送るのは難しいですよね。

私はそういった方々を支えたいと考えているのです!

素晴らしいことですね。

ここまで紹介したようなことを背景に、「障害者総合支援法」という法律で、障がいをお持ちの方が自立した生活を送るために必要な「指定障害福祉サービス」が定められています。

ご質問にあった「就労継続支援B型サービス」は、「訓練等給付」とよばれるサービスの中の、「就労継続支援」というサービスに分類されます。次のような制度があるので、参考にしてみてください。

障がいがあることで、一般の企業で働くことが難しい方もいますよね。

就労継続支援サービスとは、そのような方々が「働けるようになろう!」「出来る範囲で働きながら、能力アップを目指そう!」という訓練・支援を行うことが目的です。

就労継続支援A型事業所とB型事業所の違い

相談者:

ありがとうございます。ここまでは何となく分かってきました。

就労継続支援サービスによって、障がいのある方々に働く場所を提供できるのですね。

ところで「就労継続支援B型サービス」があるということは、「就労継続支援A型サービス」もあるのですよね?

A型とB型は、何が違うのでしょうか?

就労継続支援A型事業所とB型事業所の主たる違いは、雇用契約の有無です。

まず就労継続支援A型サービスは、65歳未満で、障がいなどを理由に通常の会社で働くことは難しいものの、「雇用契約」に基づいた就労ができる方が対象とされています。

いわゆる労働者の方々と同じく「雇用契約」を結ぶため、最低賃金以上のお給料が設定されることが特徴です。

一方、就労継続支援B型サービスは、「雇用契約」の締結が難しい方の支援を目的としています。年齢制限もありませんし、雇用契約を結ばないため、お給料ではなく「工賃」という形で報酬が支払われます。この工賃は、最低賃金に関係なく設定できます。

就労継続支援B型を利用する方の例

相談者:

就労継続支援B型の利用者とは、雇用契約を結ばないのですね。

具体的には、どのような方が就労継続支援B型サービスを利用するのでしょうか。

たとえば次のような方が、就労継続支援B型サービスを利用するケースが多いですね。

  • 支援学校を卒業後、一般企業に就職したけど、体力・精神面で継続できなかった
  • 就労移行支援サービスを利用していたけど、就労継続支援B型の方が適切だと判断された

就労継続支援B型での仕事例

相談者:

就労継続支援B型は雇用契約を結ぶことが難しい方が対象、ということは分かりました。

ところで、「障がいがある方」と言っても、その特性はさまざまですよね。

身体障害があり車椅子を利用している方もいれば、知的障害がある方、発達障害がある方、精神障害がある方もいると思います。

具体的に、就労継続支援B型サービスでどのような仕事をしてもらえばいいのか、例はありますか?

それぞれの障害によって得意なこと・難しいことが異なるため、近年の就労継続支援B型事業所は、利用者さんの特性に合わせて多様化してきていることが特徴です。

たとえば人とのコミュニケーションが難しい、グループ・団体での連携作業が苦手な方が対象であれば、機器の組み立て・部品の検品など、集中力を活かした個人でできる作業を提供していることがあります。

このような事業所では、納期を守ることの大切さはもちろん、他の利用者の手伝い、リーダーとして製品管理することなどを通じて、コミュニケーションの取り方を少しずつ身に付けることもできますね。

集中力が長く続かなかったり、多動の傾向のある方が対象なら、畑の雑草取り・農作物の収穫などが考えられます。このような長時間座っている必要がないお仕事なら、自分のペースでのびのび働けることがポイントですね。

車椅子の方、四肢の麻痺がある方が対象の場合、パソコンでのデータ入力・内職などが向いているかもしれません。無理のないペースで少しずつ進めることも可能ですし、リハビリの一環にもなりますからね。

このように就労継続支援B型事業所での働き方は多岐にわたり、アイデア次第では全く新しいスタイルの作業所を立ち上げられます。どんな障がいの方に、どんな就労をしてもらうか、さらにはどんな支援をするのかまでイメージしてから、作業所を立ち上げることが大切です。

就労継続支援B型事業所を作るために必要なこと

相談者:

就労継続支援B型について、よく分かりました!

それでは実際に就労継続支援B型事業所を始めるとしたら、まず何を準備すればいいのでしょうか。

就労継続支援B型事業所を作るために必要なことについて、教えてください!

就労継続支援B型事業所を作るために必要なことは、シンプルに考えると次の2つです。

  1. 会社を作る
  2. 就労継続支援B型の指定(=許可)を取る

それぞれ要点をお話しますね。

会社を作る

まずは「会社」を作らなければなりません。実は障害福祉サービスの許可(=指定)は個人ではもらえないのです。

「法人」が事業を行うことが要件になっているので、就労継続支援B型の指定を受けるとなると、会社(法人)の立ち上げからスタートしなければなりません。

一口に法人といっても、さまざまな種類があります。代表例は次の3つです。

種類 概要 設立費用(概算)
株式会社 しっかりしている・安心できる、というイメージを持ってもらいやすい 合計:242,000円

・定款認証手数料:約52,000円
・収入印紙:40,000円
・登録免許税:150,000円

合同会社 定款の認証を受ける必要がなく、スピーディかつ安価に設立できる 合計:100,000円

・定款認証手数料:0円
・収入印紙:40,000円
・登録免許税:60,000円

一般社団法人 最低2名以上のメンバーで設立可能
営利目的ではないため利益分配はできない(役員や従業員が報酬や給料をもらうことは可能)
合計:152,000円

・定款認証手数料:約52,000円
・収入印紙:40,000円
・登録免許税:60,000円

いずれの形式の法人であっても、就労継続支援B型の指定を取ることは可能です。

相談者:

法人にも種類があるのですね、、、

どの形式で設立すればいいのでしょうか?

それぞれ特徴が異なるので、もし悩むようであれば、就労継続支援B型の指定の取得依頼とあわせて、行政書士に相談してみてもいいでしょう。

一般的には、次のような考え方をするケースが多いですよ。

  • 営利目的の場合:株式会社 or 合同会社
  • 非営利目的の場合:一般社団法人
  • 費用を抑えたい場合:合同会社
  • 規模拡大を考えている場合:株式会社(その他の形式でも拡大は可能)

就労継続支援B型の指定を取る

法人を設立したら、就労継続支援B型の指定を取ります。

指定してもらうためにはいくつか満たすべき条件があるので、あらかじめ知っておきましょう。

要件 概要
ヒトの要件
(人員基準)

管理者
常勤で1名以上
必要資格・必要経験はとくになし

サービス管理責任者
利用者60人以下:1名以上(1名以上は常勤であること)
必要資格・必要経験あり

職業指導員及び生活支援員
利用者数÷10以上で、職業指導員1人以上・生活支援員1人以上
必要資格・必要経験はとくになし
バショの要件
(設備基準)
訓練・作業室、相談室、多目的室など
他の法律も要注意
運営上の要件
(運営基準)
「運営規程」と呼ばれるルールブックを定める

これら要件はかなり細かく決まっています。できれば行政書士などの専門家と相談しながら進めたほうが安心ですよ。

就労継続支援B型の指定の取り方

相談者:

全体的な流れはよく分かりました!

それでは就労継続支援B型の指定をどのように取得していくのかも教えてもらえますか?

就労継続支援B型の指定を受けたいときは、次の流れで手続きを進めます。

  1. 管轄の自治体を確認
  2. 管轄自治体と事前相談・図面協議
  3. 必要書類の準備
  4. 申請の受理
  5. 自治体による実地確認
  6. 指定書(許可書)の交付

それぞれの手順ごと、内容を紹介しますね。

管轄の自治体を確認

「就労継続支援B型」をはじめとする障害福祉サービスの指定は、原則として都道府県が管轄しています。

ただし指定都市・中核市については都道府県から指定の権限が移譲されているので、注意してくださいね。

相談者:

兵庫県の場合、どうなっているのでしょうか?

障害福祉サービスの指定は、原則都道府県が行っています。しかし神戸市・姫路市・尼崎市・西宮市は市が指定権者となっているので、各市役所へ相談してみてください。

管轄自治体と事前相談・図面協議

相談者:

管轄の自治体へは、どのような状態で相談に行けばいいのでしょうか?

予定している物件を借りて、スタッフも採用してから相談にいけばいいですか?

いえ、色々と手続きをする前に、まずは管轄の自治体に相談してください。

たとえば事業所の物件を借り、スタッフも採用した状態でいきなり申請書類を持っていったとしても、「この物件ではダメです」「この方はサービス管理責任者の要件を満たしていません」と却下されてしまったら大変なことです。

そうならないためにも、色々な準備をする前に、必ず事前に自治体へ相談に行くようにしてください。

まずは電話で相談に行きたい旨を伝えて予約を取ると安心ですよ。

必要書類の準備

自治体への相談が終わったら、申請に必要な書類を準備します。

  • 指定申請に係る提出書類一覧表
  • 指定申請書
  • 役員名簿
  • 指定に係る記載事項
  • 定款又は寄附行為もしくは条例等
  • 履歴事項証明書(原本:3ヶ月以内発行のもの)
  • 従業者等の勤務体制及び勤務形態一覧表
  • 組織体制図
  • 管理者の経歴書
  • サービス管理責任者の経歴書
  • 資格証の写し
  • サービス管理責任者の実務経験証明書
  • 相談支援従事者初任者研修 受講証明書
  • サービス管理責任者研修(就労) 受講証明書
  • 研修等受講誓約書
  • 従業者の資格を証明するもの
  • 事業所(施設)の平面図
  • 事業所(施設)内外の写真
  • 土地・建物にかかる賃貸借契約書、登記事項証明書等
  • 建築基準法に基づく確認申請書、検査済証
  • 建築士による採光換気証明書または法人による採光換気計算書
  • 防火対象物使用開始届(消防署へ届出を行った申請書の写し)
  • 居室面積等一覧表
  • 設備・備品等一覧表
  • 運営規程
  • 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
  • 協力医療機関(協力歯科医療機関)との契約内容
  • 財産目録
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第36条第3項各号の規定に該当しない旨の誓約書
  • 案内図
  • 指定障害福祉サービスの主たる対象者を特定する理由
  • 事業計画書
  • 収支予算書
  • 損害賠償発生時の対応方法を明示する書類(損害保険証書等)
  • 障害福祉サービス事業等開始届
  • 介護給付費等算定に係る体制等に関する届出書
  • 訓練等給付費の算定に係る体制等状況一覧表
  • 加算を算定する場合に必要な書類(介給別紙等)
  • 福祉・介護職員処遇改善(特別)加算を算定する場合に必要な書類 (届出書、計画書、就業規則、給与規程、労働保険関係書類等)
  • 業務管理体制の整備に関する事項の届出書
相談者:

凄い数の書類が必要になるんですね、、準備が大変そうです、、、

そうなのです。

申請時には「採用予定の方の資格証明書」「経歴書」をはじめ、設備や備品などが全て揃った状態の事業所物件の写真を提出しなければなりません

「いつでも作業所をスタートできます」という状態まで準備をしなければ申請できないことは覚えておきましょう。

申請の受理

相談者:

自治体に申請をしたら、すぐに指定してもらえるのでしょうか?

いえ、実は申請書類を提出してから受理してもらうまでに、最低でも2〜3回は自治体の窓口へ行くことになります。

細かい記載方法や不足資料などを追加で求められたり、確認点や修正点があったりするためです。

1回目の申請では受理されない、と思っておいた方がいいですね。

実地確認

これは自治体によっても異なりますが、事業所に物件を担当者が確認に来ることもあります。

申請した平面図通りの広さ・間取りが確保されているのかや、本当に職員を採用したのか(または指定の予定日までに採用を予定しているのか)などがチェックされます。

指定書(許可書)の交付

申請書類・実地確認で問題がなければ、指定書が交付されます。

相談者:

最終的に指定書が交付されるまでは、どのくらいの期間がかかるのでしょうか

申請書類が受理されてから指定書交付までは、だいたい2か月程度はかかります。

そして、特別な理由がなければ毎月1日に指定が下りることもポイントです。

たとえば「来年の1月1日には就労継続支援B型の作業所をオープンしたい!」という場合には、その2か月前である10月中には申請を受理してもらわなければなりません。

そして10月中に申請するとなると、遅くとも9月までには職員・物件・資金の目処をつける必要があるでしょう。そうすると7月頃には会社を作っておくと余裕がありますね。

つまり「会社設立」から「就労継続支援B型の作業所オープン」までは、おおよそ半年程度はかかるということです。

就労継続支援B型事業所の指定手続きは専門家に相談できる

相談者:

色々とありがとうございました。就労継続支援B型事業所について、よく分かりました。

でも、自分で手続きするのは大変だとも思いました。申請手続きは、行政書士などの専門家に依頼できるのでしょうか?

就労継続支援B型事業所をはじめるための書類の作成、行政とのやりとりについては、専門行政書士へ依頼することも可能です!

たとえば当事務所にご依頼いただいた場合、いつごろから事業所を立ち上げたいかの希望にあわせ、そこから逆算して打合せを進めていきます。

「会社をつくる準備」「就労継続支援B型の事業所の指定申請の準備」の双方をご相談いただけます。

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