「放デイ・児発」の定員超過利用減算とは?条件や注意点を解説!

児童発達支援・放デイでいくつか存在する減算制度の中で、とくに注意したいのが「定員超過利用減算」です。

たとえば夏休みなどの長期休暇に伴って利用者が増加すると、減算の対象となってしまうかもしれません。

この記事では定員超過利用減算の条件や注意点について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

定員超過利用減算とは

児童発達支援事業所・医療型児童発達支援事業所・放課後等デイサービス事業所では、原則として利用定員を超えて児童発達支援等を提供してはならないとされています。

そして利用者数が利用定員を一定数上回った場合、減算対象となります。これが「定員超過利用減算」です。減算率は次のように定められています。

超過状況 減算率 減算日数
1日あたりの利用者が基準を超えた場合 30%

(基本報酬が70%に減算される)

当日の利用者全員分
直近3か月間の延べ人数が基準を超えた場合 当該1か月間の利用者全員分

定員超過利用減算の条件

定員超過利用減算の条件として知っておくべきポイントは、次の3通りの取り扱いです。

  • 1日あたりの利用実績による定員超過利用減算の取扱い
  • 過去3か月間の利用実績による定員超過利用減算の取扱い
  • 多機能型事業所等における定員超過利用減算の取扱い

それぞれの状況ごとに、条件を詳しく見ていきましょう。

1日あたりの利用実績による定員超過利用減算の取扱い

まず、1日あたりの利用人数が一定の基準以上になった場合、その当該日の総単位数が減算対象となります。超過基準は、利用定員の規模に応じて次のとおりです。

規模 超過基準
利用定員50人以下 定員の150%を超える場合
利用定員51人以上 利用定員+(利用定員-50)×25% +25を超える場合

ほとんどの事業所は、利用定員50人以下のケースに該当するでしょう。たとえば定員20人の事業所の場合、定員(20人)×150%は「30人」です。このため1日に31人が利用した場合、この日の利用者全員分の基本報酬単位数が70%に減算されます。

過去3か月間の利用実績による定員超過利用減算の取扱い

過去3か月間の利用実績による定員超過利用減算の取扱いは、利用定員11人を境に基準が変わります。

規模 超過基準
利用定員11人以下 直近3か月間の延べ人数が、「利用定員 + 3 × 開所日数」を超える場合
利用定員12人以上 直近3か月間の延べ人数が、「利用定員×開所日数×125%」を超える場合

放デイ・児発の多機能型は、定員が10名というケースが多いのではないでしょうか。その場合、減算を防ぐためには「定員+3の延べ人数」を常に把握しておくと安心です。

多機能型事業所等における定員超過利用減算の取扱い

放デイ・児発の多機能型事務所で、それぞれに利用定員がある場合は、サービスごとに利用定員を超えていないか計算しなければなりません。

とくに重度の利用者を想定した放デイ・児発の事務所は、「生活介護」との多機能型としている場合が多いため、計算方法に注意しましょう。

また、多機能型の場合、利用定員が12人を超えるケースが多く、3か月あたりの超過基準計算が複雑になるため注意してください。

定員超過利用減算の計算例

それでは定員超過利用減算の計算例を、いくつかのケースにわけて見てみましょう。

1日あたりの利用実績による計算例

まずは利用定員50人以下の場合です。

利用定員50人以下 定員の150%を超える場合

定員が10人の場合、10人×150%=15人が基準であるため、1日あたりの障害児の数が16人だと定員超過利用減算の対象となります。(1日の障害児の数が15人であれば対象外です)

では、定員が5人の場合はどうなるでしょう。この場合5人×150%=7.5人ですが、小数点以下は切り上げるため8人が基準となります。そのため 1日の障害児の数が9人になると、定員超過利用減算の対象です。

つづいて利用定員51人以上のケースを見てみましょう。

利用定員51人以上 利用定員+(利用定員-50)×25% +25を超える場合

定員60人の場合「60人+(60人-50)× 25% + 25=87.5人」となりますが、小数点以下は切り上げるため、88人が基準値です。つまり1日の障害児の数が89人以上になると、定員超過利用減算の対象となります。

過去3か月間の利用実績による計算例

利用定員11人以下のケースを見てみましょう。

利用定員11人以下 直近3か月間の延べ人数が、「利用定員 + 3 × 開所日数」を超える場合

利用定員10人、1か月の開所日数が22日の場合「(10人+3)× 22日 × 3か月=858人」が受入可能な延べ障害児数です。

つづいて利用定員12人以上のケースを見てみましょう。

利用定員12人以上 直近3か月間の延べ人数が、「利用定員×開所日数×125%」を超える場合

利用定員30人、1か月の開所日数が22日の場合、「30人×22日×3か月×125%=2,475 人」が受入可能な延べ障害児数です。

3か月の延べ人数がこれら基準値を超えると、減算対象となります。

多機能型事業所等における計算例

たとえば定員が児発10人、生活介護20人、合計の利用定員30人の場合、それぞれの定員超過利用減算の基準は次のとおりです。

1日あたりの基準(利用定員50人以下なので、定員の150%が基準)

  • 児発:10人×150%=15人
  • 生活介護:20人×150%=30人

3か月あたりの基準(利用定員12人以上なので、「利用定員×開所日数×125%」が基準)
1か月の開所日が22日の場合

  • 児発:10人×22日×3か月×125%=660人
  • 生活介護:20人×22日×3か月×125%=1,650人

この状態で、たとえば1日の障害児の数が16人の場合は、児童発達支援のみ減算対象となります。

やむを得ない事情がある場合の取扱い

さて、原則としては利用定員を超えて児童発達支援等を提供してはならないとされていますが、「やむを得ない事情」がある場合にはそれが考慮され、減算とならないこともあります。

(やむを得ず利用定員が超過している場合、基本的には速やかに是正を図るよう努める必要もあるため、その点は覚えておきましょう)

たとえば「災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合」については、定員超過も可能とされています。さらに具体的には、次のような事情も「やむを得ない事情」として差し支えありません。

  1. 障害の特性・病状等のため欠席しがちで、定期的な利用を見込むことが難しい障害児に対して継続支援の必要がある場合
  2. 障害児の家庭の状況・地域資源の状況などから、当該事業所での受け入れをしないと障害児の福祉を損ねてしまう場合

1番のようなケースは、利用人数が恒常的に利用定員を超えている状態でなければ、速やかに是正を図らずとも構わないとされています。

この恒常的に利用定員を超えている状態かどうかについては、やむを得ない事情がある障害児を除いた「1か月間の利用児童合計人数」が、「利用定員に開所日数を乗じた数」を超えるかどうかで判断されることがポイントです。

たとえば利用定員が10人、開所日数が22日の場合、10人×22日=220人が延べ数であるため、他児童の利用延べ人数がこれを超えていない必要があります。

また、2番のようなケースは、既存利用者が利用をやめる際に利用人数を調整するなどの是正方法で問題ありません。

なお、これら以外の事情も、各都道府県などにおいて個別事情ごとに判断されます。

定員以上であるものの減算対象にならない場合の取り扱い

定員超過利用減算の計算式の特性上、1日単位でみれば定員以上の児童が利用しているものの、減算対象にはならない場合もあるでしょう。

たとえば利用定員が10人の事業所の場合、定員の150%は「15人」であるため、利用者が11人〜15人であれば、ただちに減算対象となることはありません。

しかし、このように超過した日が継続すると、3か月平均の超過には該当してしまう可能性があるため注意してください。

たとえば利用定員11人以下の事業所は、直近3か月間の延べ人数が「利用定員 + 3 × 開所日数」を超える場合、減算対象となります。1か月の開所日が22日の場合、基準値は「10人+ 3 × 22日 × 3か月=858人」です。もし14人〜15人が利用する日が続けば、この基準値は簡単に超えてしまうでしょう。

また、たとえ減算にならないからといっても、定員を超過しており適切な運営がなされていないと判断されると、自治体から指導が入る可能性もあります。

適切なサービスを提供するためにも、やはり利用定員を守るよう意識してみてください。

定員超過利用減算とならないためのポイント

定員超過利用減算の対象とならないようにするためには、やはり児童の利用日を徹底して管理することが重要です。

「1日あたりの利用児童数」はもちろん、「直近3か月間の利用実績」も考慮する必要があるため、表計算ソフトなどを使用して効率的に管理してみてください。

なお、厚生労働省は「定員超過利用減算対象確認シート(Excel)」による管理を推奨しています。

このExcelは自治体ホームページでも配布されているため、ぜひ活用してみてください

(例:障害児通所支援における定員超過利用減算の取扱い|姫路市

定員超過利用減算への対応は専門家に相談

定員超過利用減算を防ぐためには、利用児童の数を継続的に正しく把握しておくことが非常に重要です。

また、かりに超過してしまった場合には、正しく減算額を計算する必要があります。しかし減算の計算は複雑で、正確に計算できているか不安に感じる方もいるでしょう。

社会保険労務士・行政書士松元事務所では児童発達支援・放課後等デイサービスを運営する事業者様を対象に、各種申請の代行・サポートをしておりますので、お気軽にご相談ください。

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