児発・放デイの事業所には、守らなければならない「人員配置基準」があります。この配置基準を満たせない場合、減算対象となるため注意しなければなりません。
そして、人員を満たせない場合の減算には、「サービス提供職員欠如減算」と「児童発達支援管理責任者欠如減算」の2種類があります。
今回は、これらの減算の詳細や、人員欠如が引き起こす「連鎖的な収入減」について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
児発・放デイの人員配置基準
まずは前提として、児発・放デイの人員配置基準について見ていきましょう。
一般的な児発・放デイの基準は次のとおりです。
| 職種 | 基準人員数 | 備考 |
|---|---|---|
| 管理者 | 1人 | 原則として管理業務に専従するものの、他業務との兼務も可 |
| 児童発達支援管理責任者(児発管) | 1人以上 | 1人以上は専任・常勤 |
| 児童指導員または保育士 | 障害児10名以下:2人以上
障害児11~15名:3人以上 障害児16~20名:4人以上 |
左記以降、障害児が5またはその端数を増すごとに、児童指導員または保育士の定員は1人追加 |
| 機能訓練担当職員 | 機能訓練を行う場合に配置 | 児童指導員または保育士の合計数に含めることも可
含める場合、合計人数の半数以上は児童指導員または保育士である必要がある |
| 看護職員 | 医療的ケアを行う場合に配置 |
※一般的な児発・放デイ=主として重症心身障害児を受け入れる事業所以外の施設
参考:児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(児発:第5条~、放デイ:第66条~)
人員を満たせない場合の減算は主に2種類
上記の人員を満たせない児発・放デイは、下記のような減算の対象となります。
- サービス提供職員欠如減算(児童指導員または保育士の数が人員配置基準よりも少ない)
- 児童発達支援管理責任者欠如減算(児発管がいない場合)
それぞれの要件・減算割合について、詳しく見ていきましょう。
サービス提供職員欠如減算
児童指導員または保育士(サービス提供職員)の人数が、人員配置基準よりも少ない場合、「サービス提供職員欠如減算」が適用されます。
減算割合は、「不足割合」と「不足期間」で変動するのがポイントです。
| 30%減算 | 欠如人数が基準の10%以内
翌々月~欠如が解消する月まで、障害児全員について減算 欠如人数が基準の10%超 翌月~欠如が解消する月まで、障害児全員について減算 |
|---|---|
| 50%減算 | 減算適用月から3か月以上連続して基準に満たない場合
減算適用3か月目~欠如が解消する月まで、障害児全員について減算 |
欠如人数が基準の10%以内の場合は、欠員が出た「翌々月」から減算が開始されます。つまり、翌月末までに人員を補充できれば、減算は適用されません。
たとえば、児童指導員または保育士の基準人員数が10名を超える大規模事業所で、サービス提供職員が1名辞めてしまったような場合には、減算適用までのスケジュールに余裕があるといえます。
一方、欠如人数が基準の10%超の場合、翌月からすぐに減算が適用されます。翌月末までに人員を補充しても、翌月分の減算は防げないということです。
小規模事業所の場合、1名が辞めただけで欠如割合が10%を超える可能性が高く、減算を防ぐには、急いで人員補充しなければなりません。たとえば障害児11〜15名の事業所の場合、サービス提供職員の基準は3人以上です。もし児童指導員・保育士が3人で、ここから1人辞めた場合、欠如割合は33%となります。
児童発達支援管理責任者欠如減算
児発管の人数が基準よりも少ない場合、「児童発達支援管理責任者欠如減算」が適用されます。
児発管が配置されなくなって翌々月から、欠如が解消する月まで、障害児全員について減算対象とされます。また、減算割合は、減算が適用される期間で変動するのがポイントです。
| 30%減算 | 減算適用1~4か月目 |
|---|---|
| 50%減算 | 減算適用5か月目~ |
なお、起算日は児発管の「最終勤務日の翌日」です。最終出勤日が3/31の場合、配置されていない月は4月から、減算適用は翌々月の6月からとなります。
人員欠如が引き起こす「連鎖的な収入減」に注意
さて、人員欠如によって「サービス提供職員欠如減算」「児童発達支援管理責任者欠如減算」が適用されると、それだけ事業所の収入は減ります。
しかし、実はこれら減算以外に、連鎖的な収入減が生じることがあります。なぜなら、人員欠如によって、それまで適用されていた「加算」が算定不可になるためです。
ここからは、人員欠如によって算定不可になる加算制度の例を紹介します。
児発管が欠如すると「児童指導員等加配加算」が算定不可になる
児童指導員等加配加算とは、配置基準で定められた人数に加えて、児童指導員等を追加配置した場合に算定できる加算です。児童指導員等とは、下記の職種とされています。
- 児童指導員
- 保育士
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
- 手話通訳士・手話通訳者
- 特別支援学校免許取得者
- 心理担当職員(心理学修了等)
- 視覚障害児支援担当職員(研修修了等)
- 強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)修了者
このように、さまざまな職種が対象となる児童指導員等加配加算ですが、適用されるためには、指定基準で定められた「全ての職種」の人員が満たされている必要があります。
つまり、上記の児童指導員等が多く配置されていても、もし児発管が欠如すると、加算を算定できないのです。
児発管が欠如すると「専門的支援体制加算」「専門的支援実施加算」も算定不可になる
専門人材の活用・ニーズをふまえた計画的な専門的支援を進めるため、令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定により、従来の「専門的支援加算」「特別支援加算」が統合されました。
また、下記の表のとおり、「専門的な支援を提供する体制」と「専門人材による支援の計画的な実施」について、2段階で評価されるようになったことは、多くの方がご存じなのではないでしょうか。
| 専門的支援体制加算 | 児童発達支援センター:区分に応じて15~41単位/日
児童発達支援事業所(障害児) : 49~123単位/日 ※専門的な支援の強化を行うため、基礎者に加えて理学療法士等を配置している場合 |
|---|---|
| 専門的支援実施加算 | 150単位/回(原則月4回を限度)
※ 理学療法士等により、個別・集団的な支援を計画的に行った場合 |
参考:児童発達支援・放課後等デイサービスの「専門的支援体制加算」「専門的支援実施加算」の算定方法
この「専門的支援体制加算」「専門的支援実施加算」は両方ともに、基準人員に加えて専門職員を配置している場合(体制手当)や、専門職員による支援を計画的に実施した場合(実施手当)に、加算算定するものです。
そのため、児発管が欠如すると、「基準人員に加えて」という前提を満たせず、両加算とも算定できません。
参考:障害福祉サービス等報酬(障害児支援)に関するQ&A VOL4 問1
減算リスクを把握・管理するには「社会保険労務士」へ相談!
ここまで解説してきたように、児発・放デイの人員欠如は、減算の直接適用にとどまらず、加算の算定停止という形でも収入に打撃を与えます。
こうしたリスクを最小化するには、人員配置の状況を日頃から正確に把握・管理し、欠員が生じた場合には、速やかに対応する必要があります。
たとえば「児童発達支援管理責任者欠如減算」は、児発管が不在になったからといって、すぐに減算が始まるわけではありません。不在となった月の翌月末までに後任を配置・届出できれば、減算を防げます。そのため、いつまでに補充すればよいかを正確に把握し、採用スケジュールを立てることが非常に大切です。
また、やむを得ない事由で児発管が欠如した場合には、一定の要件を満たしている方を「みなし配置」することで、減算を防げる可能性もあります。減算を防ぐために、スタッフと退職日について相談するのも選択肢の一つでしょう。
減算リスクを把握・管理する方法は多岐にわたるため、ぜひ社労士などの専門家にも相談してみてください。社会保険労務士・行政書士松元事務所でも、児発・放デイの事業所からのご相談を承っております。




















